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最近の豪雨や台風の被害の中で、急に冠水した道路を61歳の男性が歩いていて倒れたまま溺死してしまったという事故がさいたま市内でありました。
都市部では雨水が浸透せず、条件によって水が集まり強い水流になると、その勢いで人の足は簡単にすくわれてしまうので、特に高齢者や幼児や妊婦さんなど、いわゆる災害弱者は注意が必要です。
災害弱者の多くは移動困難者(移動制約者)であり、常に国民に3人に1人が移動困難者であると言われています。日本の高齢者の全人口に占める割合はついに世界で一番先に20%を越え、今後さらに増える見込みですから、その対策は地方行政においても急務であると言えます。
その対策の一つとして、市民でも浸水区域などがわかる、ハザードマップという防災(減災)上重要な地図があります。ハザードマップには、浸水部分が地形にあわせながら着色され、通常、避難場所や避難ルートも示されます。
洪水の場合の避難場所については、低地の都市部など高台が無い街では指定できないことがあり、その場合は本当のハザードマップを作ることができません。実際に東京の下町で作れずに困っている都市があります。
また、避難する高台が指定できたとしても実際には、移動困難者の人たちが豪雨や暴風の中で安全かつスムースに避難できるかどうか。直ぐ近くに避難所が無く、避難するまでにずぶ濡れになってしまった場合、気温が低ければ、災害弱者はさらに危険な状態になります。
そこで、私たちは、オフィスビルの空き室や倉庫等の空きスペース(エレベーター付きで3階以上)を活用し、洪水時の避難用ビル(仮称.洪水避難ビル)として定め、そこを備蓄場所にもするということを提案しています。
この類似の考え方として、すでに国土交通省が津波被害の対策として「津波避難ビル」という施策を立てて、内閣府がそのガイドラインを検討しています。この津波避難ビルを指定しようと住民自らがビルのオーナーと交渉している例も出てきています。
浸水区域をより立体的に考えると、こうした避難ビルを浸水しない箇所として地図の上に点で示すことができるようになります。洪水避難ビルは、できるだけ木目細かく、どこの住民も直ぐに避難できる距離にあることが望ましいと言えます。すでに学校は避難場所になっている場合が多いので、学校には救命ボートなどを2階以上に常備しておくと良いと思いますが、ここで注意しなければならないことは、学校が低地にあり、3階以上が浸水しなかったとしても避難ルートが危険な場合があるということです。
つまり、震災時を想定している避難場所・ルートは水害時にも有効であるという補償は無いということを認識しておかなければなりません。実際に、水害時に周辺を含めて避難場所として指定されている学校が床上浸水した例はあります。
これからは、人口減少の時代に入って、空きビル(空き室)や空き地が増え、防災だけでなく、環境悪化や犯罪増加などの心配があるとも言われていますが、空きビルや空き地を逆転の発想で利用すると、いろいろな問題の解決になるように思います。
ちなみに、避難ビルの指定や空き室の賃借・管理については、国や県が制度化して、専門家・市町村・NPO・町会・企業などが協力(役割分担)して行えば、地域ぐるみでの防災まちづくりのモデル例にもなると思います。
大事なことは、市民、特に災害弱者と言われている人たちのニーズを知ることと、ビルのオーナーと近隣住民の方々のご了解がなければ実行できないテーマなので、もちろん真剣な取り組みが何より必要だと思います。
私たち、まち研究工房では、最近の水害から人命を守るために、企業や店舗等に協力をお願いしながら、行政・町会等と協働して「洪水避難ビル」構想の実現を目指しています。
長くなりましたが、「洪水避難ビル」構想の実現に向けて、皆様のご協力・ご支援を
よろしくお願い致します。
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